日本におけるストレスや悩みに対する表面的アプローチの背景
日本ではストレスや悩みへの対処が心理的な側面に偏りがちな傾向があります。特に身体的ストレスへのケアが不足している現状が見られますが、これはいくつかの要因に起因しています。心理学の伝統的な理論、教育・訓練の不足、医療と心理カウンセリングの構造的な問題など複数の側面から考えてみました
フロイト理論に基づく心理アプローチの影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bku/26/0/26_57/_pdf/-char/ja
(不妊カウンセリングにおける研究の動向)
当院のストレス理論は
日本では精神分析学の創始者であるフロイトの理論が心理カウンセリングに多大な影響を与えてきました。フロイトの理論は無意識や幼少期の経験が現在の心理状態にどう影響するかを重視し心の深層に焦点を当てています。このためストレスや悩みの原因を探る際に心理的な要因に偏りがちで、身体的なストレス(筋肉の緊張や自律神経の不調など)に対するケアが軽視されやすくなっています
フロイトの理論が基盤にあることで心理療法やカウンセリングは心の問題を深掘りする方向に偏る傾向があり、身体と心の相互作用を考慮した「心身一体」のアプローチが十分に取り入れられていないことが課題だと考えています。
不妊で悩んでいる場合は結果が解消するものであり、壁を崩すのに必要なのは心の持ちようなのか?考え方なのか?悩みの負担を減らす為に心理的なストレス(水)より身体的ストレス(コップの容量)を増やし、コップから水が溢れないようにした方が心理的な負担は減るような気がします。
教育や訓練の制約
身体的なストレスは、睡眠不足や栄養不足、生活習慣からも引き起こされますが、これが心理的なストレスと相互に影響し合っていることに気づけない場合、治療やサポートが表面的な対応に留まりがちです。カウンセリングの現場で身体的なアプローチが不足することで根本的なストレスの解決が難しくなります
心理学と医療の分業化の影響
日本では心の問題と身体の問題が医療と心理カウンセリングで明確に分業化されています。医師は身体的な問題を担当しカウンセラーは心理的な問題を扱うという役割分担が強調されており、これが心理的な問題と身体的な問題を総合的にケアする障壁となっています
この分業化のため身体的な問題に起因する心理的なストレスに対するケアが不十分となることが多いです。慢性的な筋肉の緊張や睡眠不足が心理的ストレスを悪化させることが知られていますが心理的アプローチのみでは身体的な要因を見逃すケースがあります。身体と心の両面に目を向けた統合的なケアが行われにくい現状が分業化によって助長されています
クイックフィックス
現代社会ではストレスや悩みに対して迅速な解決策が求められることが多く「クイックフィックス(即効的な解決)」に対する期待が高まっています。これにより心理カウンセリングやストレスマネジメントでも根本的な身体的ストレスの解決に時間をかけるよりも一時的な緩和を目指すアプローチが選ばれやすくなっています
一時的な解決策に留まってしまい身体的なストレスが根本的に解決されないことも少なくありません。こうした即効性を求める傾向が深いケアへのアプローチを妨げている気がしてうまく行かない不妊治療が長引き、イライラにつながることがありますが、カウンセラーが身体的側面に目を向けなければ心理的アプローチだけでは効果が限定され悩みが長期化しやすいという問題が生じ、ぐるぐる思考(反芻思考)の方が多い気がしています。
統合的なアプローチの必要性
日本におけるストレスや悩みへのアプローチが表面的になりがちな理由は心理学の理論的偏りや教育・訓練の不足、心理学と医療の分業化など、さまざまな要因が絡み合っていることがわかります。身体的な問題と心理的な問題が相互に影響し合っているという「心身一体」の視点を取り入れ心理カウンセリングの現場においても身体的なケアを重視することが必要だと考えております。
当院で推奨しているのはマインドフルネス
マインドフルネスを長期間実践することで心身の健康にさまざまなメリットが得られることが明らかになっています。特に日本では「瞑想」という言葉が宗教的な意味合いを持つ・嫌いな方も多いので目を開けていても、歩きながら・電車に乗りながらでも出来る呼吸法で実践をしてもらっております。(当然無料ですので、セミナーなどに参加する必要もなし)
ストレス軽減
マインドフルネスを継続することでストレスを効果的に軽減できることがよく知られています。ストレスは過去への後悔や未来への不安などネガティブな思考のループから生じることが多いですが(ぐるぐる思考・反芻思考)、マインドフルネスは「今この瞬間」に集中する力を養います。これにより心が過去や未来に囚われず、現在の状況に集中しやすくなり、ストレスが自然と減少します。日常的に感じる不安やプレッシャーも瞬間に集中することで軽減されると取り入れております。
感情のコントロールが向上
マインドフルネスを長期間行うことで感情のコントロール能力が向上します。感情が沸き上がったとき、それに気づき、冷静に観察する習慣がつくため感情に振り回されることが少なくなります。怒りや不安を感じた瞬間にその感情を客観的に捉え適切に対応できるようになります。これにより感情の波が穏やかになり心理的負担が軽減されます。冷静な判断力を持つことで感情に左右されずに落ち着いて行動することができるようになります
集中力と注意力の向上
マインドフルネスは集中力や注意力の向上にも効果的です。日常の中でストレスや悩みがあると注意が散漫になりがちですがマインドフルネスを実践することで「今」に集中する力が鍛えられます。これにより気が散りにくくなり、仕事や生活におけるパフォーマンスが向上します。特に複数のタスクを同時にこなす際でも1つ1つに集中して取り組む力が身につき効率的に物事を進めることができるようになります
自律神経のバランスを整える
マインドフルネスを続けることで交感神経と副交感神経のバランスが整えられます。長期的なストレスは交感神経を過剰に刺激し心身に悪影響を与えますがマインドフルネスは副交感神経を活性化しリラックスを促します。心拍数や血圧が安定し呼吸が深く穏やかになることで身体的なストレスが軽減され精神的にも落ち着きを取り戻します。慢性的な緊張や不眠症に悩む人には大きな改善効果が期待できます
思考の柔軟性が高まる
マインドフルネスを長期間実践することで思考の柔軟性が向上します。ストレスに直面したとき状況を冷静に観察し感情に流されずに論理的に対処する力が身につきます。これにより問題解決能力が高まり日常生活における困難な状況でも、より効果的な解決策を見つけることができるようになります。思考が柔軟になることで新しいアイデアや視点を持ちやすくなり、さまざまな状況に適応しやすくなると考えております
まとめ
マインドフルネスを長期間実践することによる心理的なケアには、さまざまなメリットがあります。ストレス軽減や感情のコントロール、集中力の向上、自律神経のバランス改善など、心身に対して包括的な効果をもたらします。これらの効果が積み重なることで日常生活の質が向上し長期的な精神的安定感を維持することが可能となると考えております。