不妊症と貧血・フェリチン
貧血と不妊症の関係について、良く見落とされている貧血、実は非常に密接な関係があります
基準値:貧血の目安となるヘモグロビン濃度の値は男性で14g以下・女性で12g以下で貧血と診断されます。
ただこれは、一般の方の数値で妊娠を希望する、着床後と考えれば栄養を足らない結果となります
ヘモグロビンの役割
最も重要な役割は、酸素を全身に運搬することです。
貧血とは赤血球やヘモグロビンの量が正常より少なくなった状態です。身体は酸素と栄養素をエネルギー源として生命を維持している為
酸素不足になりさまざまな症状がでてきます。
極論を言えばいくら良い栄誉素を摂取していても酸素がなければ届きません。
- 冷え性
- つかれやすい
- めまい
- 立ちくらみ
- 動悸
- 息切れ
- 頭痛
- 耳鳴り など
着床後の受精卵は、大量の血液(酸素、栄養など)が必要になります。
これを継続するには、余分に蓄えていないといません
妊娠中の場合は自分の体だけではなく赤ちゃんにも酸素を届けなくてはならないので赤血球の量が増えます
また血中の鉄分が低下すると貯蔵鉄と言われるフェリチンが使われます。よく検索される方はご存じだと思われますが
着床後にフェリチンが減少する
卵胞の発育が悪い原因がフェリチン
しかし先に使われるヘモグロビンを蓄えて置けば問題はありません。蓄えておけばフェリチンも増加するという考えです
貧血と不妊症
- 鉄分が不足すると女性ホルモンの合成が滞ります
- ヘモグロビンによる酸素の運搬ができなくなります
- 子宮内膜が成熟しないという
- 卵細胞の成長に必要な鉄が足りない為に育ちにくくなる
鉄分不足により考えられるリスク
卵胞ホルモン・黄体ホルモンの分泌が減り・妊娠しにくくなる
卵細胞の成長に影響を及ぼし、健全な卵細胞が育ちにくくなる
血液の酸素運搬が滞ることによより、卵巣への酸素が不足し卵子の質に影響を与える事がある
特に黄体ホルモンの分泌が低下すると妊娠の初期では黄体ホルモン維持できず流産してしまうリスクが上昇します
ハーバード大学の研究(当院説明会資料抜粋)
正常なホルモン分泌及び子宮粘膜・卵巣形成には、
たんぱく質・ビタミンACE・ヘム鉄・亜鉛などの栄養素が必要です。
ヘム鉄を摂取した女性は、排卵性の不妊症になるリスクがかなり低くなると言います
鉄分の欠乏症は、世界で最も一般的な栄養不足です
月経、妊娠、授乳期が身体の鉄分の不足をもたらすため、
妊娠可能な年齢の女性は、鉄分不足をおこすリスクが非常に増します
鉄分のサプリメントの使用したグループは
鉄分サプリメントを摂取しなかった女性より、排卵障害が40%も低いことが分かっております
鉄分の多い植物性食品
鉄分の多い植物性食品には、小松菜、緑黄色野菜、海藻などがあります。
妊娠に必要な鉄分の作用
・鉄の作用は体内や脳に酸素を運搬する
赤血球中のヘモグロビンの構成要素となる。
・粘膜の免疫力を高める。
着床しにくい方や流産をよくする方も、
子宮粘膜が栄養欠損の問題もあるとされております。
ヘム鉄・ビタミンB群などをしっかり摂取することが大切となる
妊娠初期の貧血が子供に与える影響
532232人の非養子スウェーデン人の子供とその299768人の母親を対象としたこのコホート研究では、妊娠初期(30週間以内)に診断された貧血は、
自閉症スペクトラム障害、注意欠陥/多動性障害、および知的障害の子孫リスクの増加と有意に関連していました
※妊娠後期の貧血は比例しないので安心してください
Association of Prenatal Maternal Anemia With Neurodevelopmental Disorders
貧血と言われなくてしっかりと補充してください
魚介類やレバー、大豆
肉、魚、卵、乳製品など動物性たんぱく質と一緒に補うと鉄の吸収が高まります。
野菜、果物、芋類
かき、しじみ、あさり、鮭
鉄分は吸収率を考え「ヘム鉄」当院に来院されている方では、昼・夜は推奨された赤身の量をしっかりと食べてください
気をつける食べ物
緑茶・紅茶・コーヒー
タンニンが含まれる飲み物は鉄の吸収を悪くするので、食事の前後はなるべく控える